映画『コクリコ坂から』は、2011年に公開されたスタジオジブリの作品です。監督は宮崎吾朗さんで、原作は1980年に少女漫画雑誌「なかよし」に連載されていた同名の漫画(原作:佐山哲郎さん、作画:高橋千鶴さん)です。
『コクリコ坂から』は、宮崎吾朗さんの監督作品としては3作目になります。
漫画と、映画では多くの変更点があります。この記事では、原作との違いや結末、裏設定などを考察していきますので、最後までお付き合いください。
目次
映画「コクリコ坂から」原作との違いは?
映画『コクリコ坂から』は原作漫画をベースにしながらも、宮崎駿さんが脚本を担当したこともあり、多くの変更点があります。ここでは、主な違いを5つ紹介します。
1. メルの印象
映画ではメルは清楚でしっかりした女性像ですが、漫画では快活で男勝りな性格です。漫画では、メルが北見北斗という獣医師志望の下宿人に片思いしており、俊と付き合う前に別の男性とも交際しています。
映画では北斗さんは下宿仲間の女性です。
2. カルチェラタン
映画『コクリコ坂から』では、カルチェラタンという建物が物語の重要な舞台となっていますが、原作の漫画ではそのような建物は一切登場しません。漫画では、学生運動の目的は制服廃止に絞られており、カルチェラタンのような文化棟もでてきません。
カルチェラタンという名前は、宮崎駿さんがパリに実在する学生街の地名からインスピレーションを得て命名したそうです。
3. 俊や水沼の素行
映画では俊や水沼は真面目で優秀な生徒ですが、漫画では不良で喧嘩っ早い性格です。
漫画では俊が海の父の遺品を盗んだという設定がありますが、後に誤解であることが判明します。
4. 年代背景
映画では東京オリンピック開催を目前にした1963年が舞台ですが、漫画では1970年代が舞台です。
そのため、映画では高度経済成長や学生運動の影響が描かれていますが、漫画ではそういった背景はありません。
5. 海の両親
映画では海の父は朝鮮戦争で亡くなり、母は大学助教授としてアメリカに出張していますが、漫画では父は船乗りで10年前に遭難し、母はカメラマンとして世界中を旅しています。
漫画では海の父が遺した信号旗や写真が重要な役割を果たしますが、映画ではそういった描写はありません。
映画「コクリコ坂から」結末は漫画と同じ?
映画「コクリコ坂から」の結末は、原作の漫画と同じです。
海と俊は異母兄妹だと思って別れますが、実は血縁関係はありませんでした。海の父親は遭難した親友の息子・俊を引き取りましたが、妊娠中だった海の母親は俊を風間夫妻に預けました。
真実を知った海と俊は再び想いを寄せ合います。カルチェラタン保存運動も成功し、ふたりは幸せな青春を送ります。
映画「コクリコ坂から」に裏設定はある?
映画『コクリコ坂から』には、裏設定や伏線、雑学などがたくさんあります。ここでは、その中からいくつか紹介します。
①旗の意味
海が掲げる信号旗は、船舶間の通信に使われる旗です。
それぞれにアルファベットや数字、意味が割り当てられています。
海が掲げる旗の意味は「航海の安全を祈る」で、俊が乗るボートが掲げる旗の意味は「ありがとう」です。映画ポスターの旗には「貴船の協力に感謝する。航海の安全を祈る」という意味が込められてます。
②声優のキャスティング
メル役の長澤まさみさんは、ドラマ『わが家の歴史』での演技が評価されて起用されました。
俊役の岡田准一さんは、『ゲド戦記』にも出演していたことから気心が知れていたという理由で選ばれたそうです。また、宮崎吾朗監督自身も声優として出演しています。
③舞台のモデル
映画の舞台となった横浜には、実際に映画のモデルとなった場所があります。
「コクリコ荘」のモデルは港の見える丘公園内の旧柳下邸、「コクリコ坂」のモデルは音羽の坂、「カルチェラタン」のモデルは逗子開成高校などです。
④徳丸理事長
映画に登場する徳丸理事長は、実在した人物である徳間康快さんがモデルになったそうです。
徳間さんは出版社「徳間書店」の初代社長であり、スタジオジブリの初代社長や逗子開成学園理事長も務めました。性格は豪快であり、宮崎駿さんとも親交が深かったといわれています。
コクリコ坂からに関しては以下も検索されています、ぜひ参考にしてください!
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まとめ
この記事では、映画『コクリコ坂から』の原作との違いや結末、裏設定などについて紹介や考察をしました。映画は、原作漫画をベースにしながらも、宮崎駿さんが脚本を担当したことで多くの変更点がありました。
また、映画には船舶間の通信に使われる信号旗や実在した人物がモデルになったキャラクターなど、興味深い要素が盛り込まれています。映画『コクリコ坂から』は、1963年の横浜を舞台にした青春物語です。ぜひご覧ください。